ミャンマーの蓮布

蓮から糸が出来ることをご存知ですか?
ミャンマー連邦共和国(旧:ビルマ連邦)シャン州タウンジーにあるインレー湖でその布は生まれます。平均標高884mの高地に位置し、南北約18km、東西約5kmに広がる、縦長の淡水湖で育つ蓮の茎からは良質で丈夫な繊維が出来るのです。蓮の茎から繊維を抜き出し、手で撚りをかけて糸を作ります。蓮から採取できる繊維は量が少なく、実際1ヤード(縦横)の布を織るために使用する茎の量は、12,000本をも必要となります。また、茎の収穫から糸の生産まで全てが手作業によるもので、熟練の技術と半年にも及ぶ期間がかかるのです。

不思議なことに、インレー湖の蓮でしか良質で丈夫な蓮布を作ることはできません。
ミャンマーを代表する大河エーヤワディ(イラワジ河)の河口に蓮の大群生地があり、そこで採った蓮を使ってみましたが、質の良い物はできなかったと言われています。また、日本の蓮でも採取して織っているところはありますが、少量しか採れず且つ糸の耐久性から小物だけに使用されています。

このインレー湖で作られる蓮布は、現地でも貴重で且つ大変高価な代物です。敬虔な仏教国であるミャンマーでは、昔からこのインレー湖の蓮布を僧侶の着る袈裟として高僧や寺院などに献上されてきました。日本でも大変貴重価値が高く、皇室をはじめとする僅か数か所の寺社仏閣に貯蔵され、今も尚、古代幻の織物と語り継がれています。

ミャンマー インレー湖の蓮布は、幸運なる環境の中で、数少ない職人たちがひとつひとつ丁寧に時間と愛情を込めたインレー湖の特産品なのです。先述したとおり、元々は献上品として作られてきた蓮布でしたが、希少価値の高さにお土産用として一部販売したところ、世界中から注目が集まり、近年では品薄状態が続いています。日本では最近、絹糸と合わせて織り上げた帯などが作られていたりと、注目が集まっています。

蓮布の作り方

  • 1蓮茎を束ねて折り左右に引いて繊維を取り出す
  • 2作業台の上に繊維を引っかける。①の手順を数回繰り返す
  • 3束べて引き出した繊維を掌で転がしながら、糸を作る。(”蓮糸”と呼ぶ)
    ※熟練の経験と技術が必要で、職人技である。
  • 4ミャンマーの僧侶が使用する、袈裟を染める染料を作る。
  • 5タイ語で「ドゥー」という木の皮から、染料を抽出する。
  • 6出来た糸”蓮糸”を抽出した染料で染める。
    ※帯にする生地は染めずに生成りのまま。
  • 7染め上げた糸を手で洗い、洗い終わった糸は乾燥させ、
     整経(経糸を整えること)機に掛けるため、糸を揃える
  • 8織り機を使い、手作業でひとつひとつ丁寧に織り上げる
工場はインレー湖内に位置し、舟の発着場から1時間かかります

インレー湖で作られた蓮布には必ず左図のタグが縫い付けられます

蓮の糸とは

6本の蓮の茎をポキッと折って引き伸ばすと蜘蛛の糸のような繊維が出てきます。それを手でこねる様に撚ります。乾くと強い糸になります(藕糸)。
つやもなくきれいな色に染まりませんが不思議な糸です。

極楽浄土に連綿と続く蓮華の園。その蓮の糸を使った織物は、紀元前四世紀頃から繊維として使用されていたと見られる文献がマハーバーラタの一節に「蓮根、蓮糸を売る」という文章から推測できます。日本では、六二二年(推古朝三一年)新羅より達率奈未智が来朝して、蓮絲で織った「都卒曼荼羅」を献じたと「日本書記」に記されています。また、日本に現存する蓮絲織の織物は、皇室をはじめわずか数カ所の寺社仏閣に所蔵され今も尚、古代幻の貴重な織物としてその姿をかいま見ることができます。

ミャンマーは、インレー湖で群生している蓮を収穫し、その茎から糸を繰っています。その地域でさえ蓮絲で織られたものを纏うのは、高い位の僧侶だけといわれ、わずかな量しか作っていません。
ちなみに約1mの生地を織るのに蓮の茎が一万一千本必要になってきます。
また、茎の収穫から糸の生産まですべてが手作業によるもので熟練の技術と半年の期間を要する貴重なものなのです。
実はこの布、お釈迦様が悟りを開いた時天から賜った(入滅した時着せられたと言う説もある)布だと言われています。又、奈良県の当麻寺に伝わる当麻曼荼羅は中将姫が一夜にして織り上げた蓮布だという伝説もあり、他にも蓮布の軸物や袈裟など数点が全国の寺々に伝わっています。
昔日本でもこの蓮布が織られたらしく、蓮池から集めた蓮の茎から糸を作り、前述の仏具を作って神社仏閣に奉納していたようです。

サイズ・素材

サイズ:大(1950mm*375mm 170g)/中(1900mm*210mm 80g)
※手作り商品の為、サイズには若干の誤差があります。
100%蓮糸素材 :草木染(左図)、染めなし(右図)

ご使用上の注意点

・天然素材を使用した製品は、洗濯・クリーニング時に生地が若干縮むことがあります。
・繊細な繊維ですので、ご無理な力が加わると形が崩れたり、糸がほつれる恐れがございますので、手洗いをおすすめしております。
・洗濯により、色落ちすることがございますので他の衣類と分けて洗ってください。
・直射日光に長時間さらすと変色の原因や、生地の傷みつける場合がございますのでご注意ください。